■歯
身体の健康診断は広く普及していますが、最近歯の疾患を予防、早期発見するため
「歯の健康診断」を受診する人が徐々に増えてきています。高齢化社会を迎え、
八十歳になっても質の高い充実した生活を過ごすために、自分の歯を二十本以上保つ
「8020(はちまるにいまる)運動」も提唱されており、歯と口の健康づくりは大切なテーマ
になりつつあります。広島市では十月から四十歳・五十歳を対象に「節目年齢歯科健診」をスタートさせています。
歯の三大疾患
歯の疾患には、大きく分けてう蝕、歯周病、不正咬合の三つがあります。
う 蝕 いわゆる虫歯のこと。健康な歯は血管と神経につながっている歯髄を、
象牙質が覆い、さらに表面をエナメル質が保護しています。(図1)
このエナメル質が溶けるのが虫歯の始まりです。進行度により虫歯は
C(カリエス)1〜C4に分けられます。C1やC2は初期なので虫歯の部分を削っていろいろな材料で埋めれば治療完了です。
C3になると歯髄に達しているので神経を取り、歯を保護するために冠をかぶせる必要があります。
C4は歯根しか残っていない状態なのでほとんどの場合抜いてしまい、入れ歯をするか、両隣の歯を利用してブリッジにします。
歯周病
歯肉(歯茎)が出血したり腫れたりする歯肉炎と、歯と歯肉の付着が壊れ、
歯を支えている骨がなくなる歯周炎に分けられます。歯肉炎が進行し、慢性の歯周炎に移行
するので、二十歳前半では歯肉炎が六十lと多く、四十五歳から五十四歳では約八十
lの人が歯周炎にかかっているといわれます。歯周病の原因は、大部分がプ
ラーク(歯垢)です。プラークは口腔に常在する菌とその産出物からなる歯面沈着物です。
歯磨きの不備によりプラークがたまり、歯の周囲にポケットができ、そこに細菌が生まれ歯茎
や歯槽骨を侵し、歯肉が腫れ、歯が弛んできます。深いポケットができると、
歯間ブラシでも歯肉の下のプラークを取ることができなくなります。プラー
クは次第に硬くなり、歯石になるので、歯科医や衛生士の手助けが必要になります。
不正咬合
歯の生え方や、あごの異常により起こる歯並びやかみ合わせの異常をいいます。
不正咬合には次の種類があります。
●上顎前突(出っ歯):上あごが著しく成長し、下あごよりかなり前にでている状態。
●下顎前突(受け口):下あごが著しく成長し、上あごよりかなり前にでている状態。
●過蓋咬合:前歯のかみ合わせが深く、下の前歯が上の前歯の陰に隠れる状態。
●交差咬合:下あごが左右対称に成長せず下あごが横にずれている状態。
●叢生(乱杭歯):歯が不規則に生えている状態。鬼歯、八重歯など。
●開咬:奥歯をかみ合わせても、前歯がかみ合わず、上下の前歯の間に隙間ができる状態。
不正咬合の原因は、大きく分けると先天性のものと、本人の癖や虫歯などの影
響によるものがあります。不正咬合があると、見た目に問題があるだけでなく、
食べ物が十分にかめなかったり、サ行、タ行の発音に影響がでたりするため、
適当な時期に治療を開始することが大切です。
さまざまな治療法
虫歯や歯周病は、過労、運動不足、睡眠不足、不規則な食生活など、日常生活に起
因する場合もあるため、生活習慣病ともいわれます。生活習慣の見直しと、
プラークコントロールにより歯の寿命を伸ばすよう努めたいものです。
不幸にして、抜歯の必要が生じた場合、新しい歯を補充しますが、状態により、
「ブリッジ」「入れ歯(義歯)」「インプラント」などを選択します。
ブリッジ
欠損した歯が少ない場合に、健康な両隣の歯を支柱にして橋を架ける方法
。両側の歯は削ってキャップを被せ固定します。(図2)
入れ歯
欠損した歯の両側にバネをつけ、両隣の歯に引っかけて固定する方法。
取り外しは自由です。(図3)
インプラント
チタン製の人工歯根を顎の骨に打ち込む方法。多数の歯が欠損した場合や、
丈夫で長持ちする歯を望む場合に適しています。(図4)いずれの治療も、患者の歯の状態により、最適な方法が違ってくるので、
歯科医の説明を十分聞き、しっかりと話し合うことが大切です。
歯を磨くと出血する、歯がしみる等、歯に何らかのトラブルを抱えている人
は二、三十代の七割に達するともいわれます。健康的な日常生活を過ごすことはもちろんですが、
虫歯や歯周病などの早期発見のため、治療以外でも定期的に歯の健康診断
を受け、質の高い生活を送りたいものです。